帝国データバンクはこのほど、全国の企業対象の景気動向調査の11月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.3ポイント減の43.6と、2カ月連続で悪化した。「製造業の悪化が関連業種に波及する中、消費税率引き上げの影響も続き、国内景気は後退局面入りした可能性がある」(同社)。業種別では、旅館・ホテルが同0.7ポイント増の42.0と、2カ月ぶりに改善した。
DIを10の業界別に見ると、改善と悪化が5業界ずつだった。このうちサービスは同0.2ポイント減の50.4と、2カ月連続で悪化。サービスの15業種では、旅館・ホテル、飲食店など7業種が改善、「その他サービス」が前月並み、人材派遣・紹介など7業種が悪化した。
製造は同0.7ポイント減の39.6と、2008年9月以来、11年2カ月ぶりに7カ月連続で悪化した。前年同月比では10.4ポイント減少し、10年4カ月ぶりに前年同月を10ポイント以上下回った。
小売は同0.9ポイント減の36.1と、2カ月連続で悪化。消費税率の引き上げなどを受けて落ち込んだ10月から悪化幅は縮小したが、耐久財や高額品で駆け込み需要の反動減が続いた。
農・林・水産、金融、建設、不動産、運輸・倉庫の各業界は改善した。
10の地域別では、7地域が悪化。東北、九州の2地域が改善し、南関東は前月並みだった。
北陸は同1.7ポイント減の40.4と、3カ月連続で悪化。中国など海外経済の停滞で域内の建設機械・工作機械部品メーカーなど、製造業が大きく悪化した。
北海道は同0.7ポイント減の45.0と、2カ月連続で悪化。スルメイカなどの漁獲量が記録的不漁となるなど、農・林・水産業の景況感が大きく悪化した。
規模別では、大企業、中小企業、小規模企業が2カ月連続でそろって悪化した。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「京都の建設業界はホテル需要や災害の復旧などで受注過多な状態」(現在、良い、建築工事)。
「消費税増税や災害など消費が冷え込む状況が重なった」(現在、悪い、各種商品通信販売)。
「買い控え感があり、店頭の売り上げが鈍化している」(現在、悪い、催事小売)。
「台風19号の影響で取引先が複数社被災し、いまだ復旧のめどが立っていないため、取り扱い貨物量に影響している」(現在、悪い、一般貨物自動車運送)。
「乗務員不足に加え、お客さまも減少傾向にある」(現在、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。
「1年後には、東京五輪に伴う鉄道関連施設の安全確保需要が見込まれる」(先行き、良い、不動産管理)。
「ポイント還元のあるうちは大丈夫と考えている」(先行き、良い、菓子小売)。
「外国の方の来日に期待している」(先行き、良い、がん具・娯楽用品小売)。
「若年層の個人消費の弱さから、景気の回復が見通せない」(先行き、悪い、各種商品小売)。
「2020年東京五輪の影響による売り上げ増加を期待」(先行き、良い、一般貸切旅客自動車運送)。
「消費税率引き上げ、最低賃金の引き上げと続き、負担が増すばかり」(先行き、悪い、浴場)。
「消費税分をサービス価格に転嫁したことにより、売り上げの低下が見込まれる」(先行き、悪い、スポーツ・娯楽用品賃貸)。